ウクライナ支援へ出発 浦添出身・知念大虹さん(19)、沖縄戦負傷の祖母重ね、力に


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ウクライナ支援の学生ボランティアに参加する県出身の知念大虹さん=30日、東京

 【東京】ウクライナ避難民の支援のため、6月14日から学生ボランティアとして、同国と国境を接するポーランドに出発する青山学院大学国際政治経済学部2年の知念大虹(たいこう)さん(19)=浦添市出身=が30日、東京都港区の日本財団で行われた出発式に参加した。ロシア侵攻で逃げ惑うウクライナの人々に、沖縄戦で視力を奪われた亡き祖母の姿を重ね、「力になりたい」と決意を語った。戦争の記憶を継ぐ世代の目線で避難民に接するつもりだ。

 同事業は、日本財団ボランティアセンターが実施。15人を1グループとし、10月までに計7回、計105人を派遣する。

 5月31日に第1陣が出発。ポーランドのクラクフで約2週間ボランティア活動を行う。第2陣で参加する知念さんは、6月14日から同29日までの日程でポーランドに発つ。

 「地上戦を経験した沖縄とウクライナの現状が重なった」と語る知念さん。5年前に89歳で亡くなった母方の祖母、與儀マツさんは、幼少期に本島北部で沖縄戦に巻き込まれ、米軍の艦砲射撃の破片が当たって右目を失明した。マツさんや母親から沖縄戦のことを伝え聞き、「平和への思いを強くした」という。

 知念さんは「目の負傷で戦後はかなり苦労したと聞いていた。なぜ人は戦争するのか。どうしたら戦争を止められるのか。祖母の話が戦争について考えるきっかけになった」と振り返る。

 自分なりに答えを探すうちに国際政治に興味が湧き、大学では安全保障の分野についても学びを深めている。

 知念さんは、「極限の状況にある中でどんな風に過ごしているのか。時には笑ったりもできているのか。精いっぱい、気持ちに寄り添って力になりたい」と力を込めた。
 (安里洋輔)