県高校総合体育大会は30日、各地で9競技を行った。空手の男子個人組手は伊礼龍寿(前原)、女子は三浦麻姫琉(浦添)が制した。
試合時間は残り6秒。伊礼龍寿(前原2年)は冷静に動きを見ていた。決勝で対戦した金城亨鷹(浦添3年)に、2ポイントリードされていたが「相手は突きに集中しており、蹴りでいったら入るかな」と考えた。左足で狙った裏回し蹴りが上段に決まって一本。起死回生の大技で3ポイントを奪って逆転した。
後がない相手は上段2連突きで攻め込むが、残り1秒で「思いっきりいった」上段突きのカウンターで突き放す。勝利を決定付けると、何度も拳を握ってはほえ、勝利の喜びをかみしめた。
試合開始早々、蹴りをつかまれて倒され、上段突きで一本を取られた。しかし「焦らずに自分の組手を意識した」。相手の攻撃を見極め、上段や中段突きで徐々にポイントを重ね、最後まで攻撃のチャンスをうかがった。
伊礼の勝利で浦添の全種目制覇を阻み、一矢報いることにも成功した。「うれしい。気持ちよかった」と、初めての県総体優勝とともに余韻に浸った。兄の寿央貴は県総体で2連覇を果たした実力者だ。「自分もしっかり(連覇を)取れるようにしたい」と頼もしかった。
(金良孝矢)