軽・重症者の分流強化 新台湾モデル 陳時中・台湾衛生福利部長<台湾のコロナ対策>中


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陳時中氏

 台湾はこれまで正確なハイテク防疫モデルによる厳格な水際管理と的確な検査・疫学調査などを主軸とし、さらに情報を透明に公開し、ウイルスの侵入を防ぐことに成功し、国民生活も平常通り続けることができ、経済もプラス成長となった。

 しかしオミクロン変異株が2021年末より世界中を席巻するようになると、台湾も他国と同様に市中感染が広がるようになった。この株は感染力が強く、感染者の多くは軽症または無症状であることから、これまでのような感染例ごとに囲い込むやり方では徒労かつ国民生活に重大な影響が出ることになる。

 そこで今年4月より、台湾政府は重症者をゼロにし、軽症者を効果的にコントロールするため、中等症・重症患者のケアを優先する方針に切り替えた。現段階で推進している「新台湾モデル」は「平常通りの生活、積極的な防疫、ゆるやかな開放」が目標である。

 隔離日数と規制強度の低減、簡易検査キットの使用、感染者が自主的に通知して濃厚接触者に隔離するよう求める。これらの流れの中における接触者の通知はなるべく電子化の方法を採るようにする。民間での自主的対応には大量の簡易検査キットが必要となるため、政府が定額徴用を行うとともに「家庭用簡易検査キット実名制」を採用し、健康保険カードを証明書として健康保険特約薬局で簡易検査キットを購入できるようにする。

 軽症者と重症者の分流を強化し、軽症者は在宅療養を原則とし、中等症・重症者、年長者などの高リスク患者のみ入院とする。

 在宅療養の期間中は、スマートフォンにダウンロードしたアプリを用いて緊急医療に関する問い合わせができる。在宅療養者が必要とする薬は、各地の薬剤師および地域の薬局によるサービスネットワークがあり、ネット通信により問い合わせや薬の送付ができる。

 世界はいまだ感染の脅威、ワクチン供給、収束後の回復に向けた課題に直面しており、各国は力を合わせて互いに支え合い、次に来る未知の疾病のために備えなければならない。台湾は世界と手を携えて協力し、感染収束後の復興を共に促進していくために欠かせない良きパートナーである。

 我々は引き続き具体的な行動で各国と協力し、新型コロナワクチン、医薬品研究開発の交流協力を進め、マスクや医薬品などの防疫医療物資および設備を寄付し、共に感染の封じ込めに努めており、「Taiwan Can Help, and Taiwan is Helping!」の精神で、台湾の国際貢献は現在進行形である。

 我々はWHOおよび関係各方面が台湾をWHO体系に組み入れることを固く支持し、台湾がWHO関連会合、メカニズム、活動に十分参加できるようにし、世界各国と手を携えてWHO憲章の「健康は基本的人権」と「国連持続可能な開発目標」(SDGs)の「誰も取り残さない」のビジョンを共に実現できるよう呼び掛けたい。