【記者解説】PFAS汚染、周辺民間地の調査が必要 自衛隊施設8割で指針値超え


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航空自衛隊那覇基地から流出した泡消火剤=2021年2月、那覇市高良

 防衛省の調査で、全国にある自衛隊施設約60施設を調べたところ8割弱で消火用水槽が汚染されている実態が明らかになった。全国で自衛隊が気付かないうちに有機フッ素化合物(PFAS)を放出させていた可能性がある。原因の解明と同時に、これまで使用していたことで汚染が施設周辺の民間地域に広がっていないかどうか、改めての調査が必要だ。

 泡消火剤は放出時に真水と薄める。今調査で混ぜる前の真水だとされていた方の水槽から高濃度PFASが検出された。

 防衛省は現在、PFASのうち特にPFOS(ピーフォス)含有の泡消火薬剤の使用を順次取りやめ、PFOSを含まない薬剤への切り替えを進めている。だが、泡消火剤を薄めるための水にPFOSなどが高濃度で含まれていれば、放出時にはPFOSが混合されてしまい、薬剤切り替えは無意味となる。

 泡消火剤の飛散事故があった当初、航空自衛隊は調査もせずにPFOSは含まれていないと広報しており、本紙の報道でPFOSの検出が判明した経緯がある。これまでの教訓を生かし、防衛省には引き続き汚染の調査を徹底することが求められる。

(明真南斗)