罰則対象の行為、なお定まらず 規制の内容は政権次第で変更可能に 土地利用規制法一部施行


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国会議事堂(資料写真)

 自衛隊や米軍基地の周辺、国境離島などを対象にした土地利用規制法が一部、施行した。同法の条文は抽象的な表現にとどまり、具体的な規制内容は一部施行後の閣議で決める基本方針で定めることにしている。このため、政権の決定次第で規制内容を変更でき、罰則対象の定義すらも揺らぎが出かねない仕組みだ。

 特に罰則の対象にもなる「機能阻害行為」の内容が定まっていないことは、法の妥当性を揺るがしている。内閣官房は昨年2月に作成した法案の説明資料で、重要施設に対する機能阻害行為の例として1番目に「継続的な高所からの監視、盗聴等の活動」を挙げていた。これが実際に機能阻害行為に当たるようになれば、基地の監視行動なども取り締まられる恐れがあり、抗議行動の萎縮にもつながる。

 内閣官房担当者は監視活動も対象に含むことを当初は検討していたと認めた上で、現在は機能阻害行為に当たらないという立場だと強調した。ただ、今後定める基本方針で「阻害行為に当たらない」と明記するのかどうかは決まっていない。基本方針に明記されたとしても、法の条文に明記されていないため、閣議で変わる余地が残る。

 具体的な内容が決まらない中、自治体の対応も後手に回る。県の県土・跡地利用対策課は「一部施行については審議会設置など、新聞報道の範囲しか情報がない」と語る。

 本紙などは県を通じて玉城デニー知事にコメントを求めたが、県からは「中身がほとんど決まっていない状況で、現時点ではコメントを出せない」と回答があった。

(明真南斗、塚崎昇平)