マンゴー農家も打撃、肥料が高騰、半年で倍も「前例ない値上げ幅」 ウクライナ侵攻などが影響


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 肥料価格が高騰し、農家の所得を圧迫している。全国農業協同組合連合会(JA全農)が発表した、各都道府県の組織に6~10月に卸す肥料(秋肥)の価格は、前期(春肥・11~5月)比で最大94%増と過去最大の上げ幅となった。穀物相場の上昇から好調な需要が続く一方、ウクライナ侵攻に伴うロシアとベラルーシに対する経済制裁に加え、中国の輸出規制により、世界有数の肥料輸出国からの輸出が停滞し、国際市況が高騰している。

 県の基幹作物であるサトウキビやマンゴー、キク類の生育にも化学肥料や農薬は欠かせず、農家からは苦悩の声が上がる。

 JA全農によると、秋肥価格は肥料の原料となる尿素や塩化カリウムを中心に25~94%、窒素、リン酸、カリを組み合わせた高度化成肥料は55%引き上げられた。県内で使われる肥料の大部分は、JAおきなわが全農から原料を仕入れ、肥料製造会社に卸す。製造した肥料はJAおきなわを通して農家などに販売される。JAおきなわは、値上がりした原料を使った肥料の販売価格を今月中に決める予定で、商品への本格的な価格転嫁は7月以降となる。

 サトウキビ専用肥料を主に取り扱う琉球肥料(沖縄市)営業部の山川宜樹次長は「原材料の値上げ幅は前例がない水準。原油価格の高騰で物流コストも上がっているため、今後市場に出回る商品の大幅値上げは避けられない」と分析する。

 同社が取り扱う商品の主な原材料は窒素質、リン酸質、カリ質などで、約8割を海外から輸入している。山川氏は「このまま原料調達競争が激化すれば価格はさらに値上がりし、入手困難な状況になりかねない」と危惧した。

(当銘千絵)