【深掘り】肥料も農薬も原油も…「三重苦」に沖縄の農家からも悲鳴 価格高騰


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一部の肥料や農薬の価格が大幅に上昇していると説明するスタッフ=2日、浦添市のメイクマン浦添本店

 急激な円安による原油、原材料価格の高騰に加え、今後は農作物の安定供給に欠かせない肥料や農薬の価格上昇が予想され、農家経営への影響は避けられない見通しだ。「生産コストが上がっても、農作物に価格転嫁できない」、「化学肥料を安いものに変えたり減らしたりした場合、農作物にどんな影響が出るのか不安だ」。多くの農家が、自助努力には限界があると訴える。

 ホームセンター大手のメイクマン(浦添市)では、各種原材料の価格高騰を受けたメーカーの希望により、取り扱っている化成肥料や除草剤が値上がりしているという。例えば、10キロ入りの化成肥料は1400円台から一気に400円ほど値上がりし、1880円になった。除草剤も値上げ幅が大きく、内容量据え置きで価格が1・5倍となった商品もある。同社の園芸仕入れ担当は「農家や家庭菜園を楽しむ人にとっては出費がかさみ、二重苦、三重苦になっているはずだ」と慮(おもんぱか)る。

 父と共に年間500万本の小菊を出荷する糸満市の新垣大策さんは、肥料や農薬の価格上昇を日に日に痛感しているという。「このまま続けば年間経費は例年の1500万円から2千万円にまで膨れ上がる」と嘆く。肥料や人件費などの生産コストが経営を圧迫する中、キク類や野菜の単価はなかなか上がらないのが現状だ。

 新垣さんは「安価な肥料への切り替えや、投与量を減らす農家もいるが、多くの農家は収穫量や品質に影響が出ればダメージが大きいため、大幅な変更にはちゅうちょしている」と指摘し、自助努力には限界があると訴えた。

 マンゴー農家の仲村盛宏さん=うるま市=も、高品質のマンゴーを育てるためには専用肥料の投与は欠かせないと指摘する。果実を外敵から守る紙袋や冬場の加温機を回すための燃油も上昇し、生産コストが経営を苦しめていると強調する。その上で「離農者が出ないためにも、救済措置があれば助かる。状況が1日も早く改善することを願うしかない」と述べた。

(当銘千絵、写真も)