有害PFAS、米軍基地周辺33地点で指針超す 嘉手納で最大38倍


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 沖縄県は3日、人体に有害とされる有機フッ素化合物(PFAS)の、米軍基地周辺での残留実態調査の2021年度冬季結果を公表した。調査47地点のうち33地点で、国が定めた暫定指針値(1リットル当たりPFOS・PFOA合計50ナノグラム)を超える値が検出された。最も高かったのは嘉手納町の民家井戸の1900ナノグラムで、暫定指針値の38倍。地域からの要望で調査地点に新たに加えられた宜野湾市のウブガーでは1400ナノグラムを検出した。ほとんどの超過地点が基地の下流に位置する。

 県は16年度の夏と冬、全県的に調査を実施した。17年度からは夏と冬、主に米軍基地周辺で飲み水に使われていない河川、湧き水、井戸水などを調査してきた。

 21年度冬季調査結果では、普天間飛行場周辺で調査20地点のうち12地点、嘉手納基地周辺の12地点のうち11地点、うるま市のキャンプマクトリアス周辺で10地点のうち7地点、キャンプハンセン周辺で4地点のうち3地点で超過。キャンプ瑞慶覧周辺は1地点を調査したが超過しなかった。

 33地点で暫定指針値を超えたことについて、県環境保全課は「PFOS・PFOAの使用は現在禁止されている。過去の汚染源から現在も汚染物質が出ているのかもしれない。ただ、汚染源が特定できないため推測の域を出ない」と指摘。「だからこそ国と米軍に上流にある基地立ち入り調査を求めている」と強調した。

 県は今後も年2回の調査を継続し、汚染源特定のため基地への立ち入り調査実現を求めていく。普天間飛行場周辺については汚染源特定に向け、21年度に専門家会議を設けた。22年度はこれまでの諸調査を基に掘削調査も実施する。
 (安里周悟)