異論許さぬ社会に懸念 映画「教育と愛国」斉加監督を招き上映会 沖縄市


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教育現場への政治圧力について話す「教育と愛国」監督の斉加尚代さん(右)とシアタードーナツ代表の宮島真一さん=5月29日、沖縄市のシアタードーナツ・オキナワ

 【沖縄】毎日放送のドキュメンタリーディレクターの斉加尚代さんが監督を務めた「教育と愛国」の上映会が5月29日、沖縄市のカフェ映画館「シアタードーナツ・オキナワ」であった。上映後、斉加さんを招いたトークもあった。斉加さんは愛国心や道徳心の養成をうたった2006年の教育基本法改正などに触れ、教育を通した同調圧力の強化や、権力への異論を許さない社会への懸念を指摘した。

 「ルールを守る」という道徳教育について「例えば沖縄の人の(新基地建設に反対する)座り込みに『道路交通法違反だ』と言うが、なぜ座り込みをせざるを得ないのか。地方自治や人権が守られていないという沖縄の声が届かない」と問い掛けた。

 ウクライナ侵攻を前にロシア政府が教育への介入を強めたことにも触れ「教育によって民主主義をいかに守るかが問われている」と話した。「戦争の加害も被害も学ぶことが子どもたちの権利だ」と強調した。

 「教育と愛国」は沖縄戦の「集団自決」に関する日本軍の命令・関与や、従軍慰安婦の「従軍」の文言などが歴史教科書から削除された経緯などを追った作品。原作となった番組は優れた放送に贈られる「ギャラクシー賞」(放送批評懇談会主催)で18年に大賞を受賞した。

 シアタードーナツは9日から「教育と愛国」の一般上映を始める。1日1回で、4週間を予定している。

(島袋良太)