沖縄県内でヘイトスピーチへの反対運動を展開する沖縄カウンターズは5日、企画展と学習会を那覇市の「ブックカフェ&ホールゆかるひ」で開いた。ヘイトスピーチの実態などを分かりやすく伝えながら、差別を許さない社会の実現に向け、参加者と問題を共有した。
学習会では、ジャーナリストの安田浩一さんが登壇し、国内で起きている被害の実態や背景について報告した。
安田さんは5月に米国で発生した黒人を標的にしたとみられる銃乱射事件を挙げ、有色人種に米国が乗っ取られるという陰謀論「リプレイスメント・セオリー(人種・民族の置き換え論)」が背景にあると指摘する。
その論理は白人至上主義だけでなく日本の差別主義者にも共通していると強調。「ヘイトスピーチを垂れ流し、人間や社会を壊す。海外から来た、沖縄に住んでいるだけで攻撃される」と語り、国籍や人種など自分では変えられない属性に対し、多数派といった社会的力関係を利用して誹謗(ひぼう)中傷する不条理を浮き彫りにした。
国は対策法を2016年に施行したが、罰則が伴わないことから、ヘイトスピーチの解消には至っていない。安田さんは「実効性が必要で、罰則を設けるべきだ」と主張。県でも議論が進む規制条例については「外国人だけでなく、沖縄に向けられた差別も許さないという理念も設けてほしい」と要望した。
学習会の前に開かれた企画展では、ヘイトスピーチに関する資料がパネルで展示された。
(小波津智也)