うさぎはウンチを〇〇〇 周本記世(がじゅまる動物クリニック院長)<未来へいっぽにほ>


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周本 記世(がじゅまる動物クリニック院長)

 さて、今回はウサギのつやつやの毛の秘密から紹介したい。答えは、微生物の力にある。

 ウサギの胴体の約3分の1は、盲腸が占めている。ここで腸内微生物が繊維を発酵し、エネルギーを産生する。消化管を通過した便は栄養を豊富に含んだ盲腸便となり、ウサギは肛門に口をつけてその便を食べるのだ。この時、再度消化管を通過することになる。胃腸で栄養が吸収され、おなじみのコロコロ便が完成する。あの愛らしい動物がまさかウンチを食べるなんてと、驚く方も多いだろう。

 ところでウサギの肉球を見たことがあるだろうか。実はウサギには肉球が存在せず、代わりに足裏の密な毛がクッション材となっている。そのため床材が硬すぎたり、尿で足裏が濡れたりして不衛生な環境になると、足底の皮膚炎になりやすい。また人では全身に、犬猫では肉球にある汗腺がウサギでは発達しないため、熱中症になりやすい。そこで熱を放散するのが、あの長い耳だ。集音かつ冷却装置になっている。

 まだまだ面白い特徴があるが、ここでは省略する。このように生き物たちの生態の素晴らしさと、だからこそどういった飼育が必要なのか、学校で子どもたちに伝えていきたいものだ。

 「学校飼育動物は教材だ」とある教職員に言われたことがある。多様な年代の方に話を聞いてみると、授業では小学校6年間で1回のふれあいのみ、あとは高学年の飼育委員だけが関わっていたという話が多かった。子どもたちが貴重な教材から最大限の正しい学びを得られるよう、また尊く愛らしい命が幸せに生きられるよう、お手伝いをしていきたい。県獣医師会にご要望いただければ、学校訪問や触れ合い教室を開催することもできる。ぜひ活用していただきたい。