里親委託解除事案に関する調査委員会が10日に発表した中間報告からは、子どもの声が置き去りにされたままに事態が進み、問題が深刻化していった様子が明らかになった。一方で、委員会設置からわずか2カ月余りで、児童と実親の対面での面会や、児童と里親のオンライン交流の実現など、問題解決に向けた動きも報告された。
調査委員会の前にこの問題を議論した、県社会福祉審議会の審査部会は「児童が実親と家族関係を構築するに当たり、児相とともに元里親を含めた関係者が支援していくことが必要だ」と指摘していた。だが、10日の中間報告では、審査部会の提言後も、児相が元里親と連携する様子がなかったことも明かされた。対立によって生じた溝の深さが垣間見える。
記者会見した鈴木秀洋委員長は、聞き取りをする中で、実親も里親も子どもをとても大事に思っていることを痛感しているとした上で「実親派、里親派がいるわけではない。調査委員会はどっちの味方でもなく、児童のことを考えて議論している」と強調した。
いったん損なわれた関係を構築するのは、とても困難な作業だと言える。問題解決に向け、今度こそ子どもの意思を尊重し、関係者が連携するべきだ。
(前森智香子)