「沖縄に負担いつまで」 基地引き取り、福岡で訴える女性の思い


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「本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会」のメンバーと街頭活動をする里村和歌子さん(左)=2017年6月、福岡市

 日本復帰から50年となった沖縄県には、今なお在日米軍専用施設面積の7割が集中している。沖縄の負担軽減を目的に、基地を本土に引き取ろうと活動する女性(46)が福岡県にいる。街頭活動や講演会を行ってきたが「基地への当事者意識が広がらない」と難しさも抱える。参院選での争点化を狙い、女性の所属団体などは全国の議会へ働きかけを始めた。

 「本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会」代表の里村和歌子さんは、夫の転勤で2008年から1年間那覇市で暮らした。だが住民との間に距離を感じることがあったという。本土に戻り、進学先の大学院で沖縄出身の教授に経験を話すと「沖縄は本土の人に裏切られ、搾取されてきた。それが基地という形に現れている」と言われた。初めて沖縄が抱える問題を考えるようになった。

 15年3月に大阪で基地引き取り運動が始まり「背中を押された思い」で、同年9月から福岡で取り組むようになった。

 里村さんは沖縄の基地問題を「必要性は認めるが、自宅付近では嫌だ」との意味で使われる言葉「NIMBY」で表現する。英文の「Not In My Backyard」を略した造語だ。

 共同通信が今年5月にまとめた全国郵送世論調査でも、同様の傾向が見られた。在沖縄米軍基地の一部を他の都道府県で引き取るべきだとの意見に、「賛成」は「どちらかといえば」を含め58%だったが、自分の住む地域への移設に「反対」は計69%だった。里村さんは「いつまで本土のNIMBYを沖縄に強いるのか」と訴える。

 参院選を前に、里村さんら12都道府県の団体で構成する全国連絡会は、市町村議会などに米軍普天間飛行場(宜野湾市)の引き取りを国に働きかけるよう求める陳情書の提出を始めた。

 「選挙では暮らしや経済が争点になる。でもその裏で私たちは沖縄を犠牲にしていることに気づくべきでないか」。里村さんは問いかけている。

(共同通信)