沖縄県の玉城デニー知事は23日、沖縄全戦没者追悼式の平和宣言で、ウクライナ侵攻で住民が犠牲となっている状況に触れ、「激動が続く世界情勢の中で、今こそ『平和の礎』に込められた平和と命の尊さを大切にする『沖縄の心、チムグクル(肝心)』を国境を越えて世界に発信することが重要だ」と強調した。うちなーぐちや、英語を交え、不戦の願いを国内外へ発信した。
玉城知事は、ウクライナ侵攻を巡り、77年前に地上戦によって20万人余の住民が犠牲となった沖縄戦の記憶と重ね合わせ「筆舌に尽くしがたい衝撃」と強調。その上で「国際社会が連携し、多様性や価値観の違いを認め合い、対立や分断ではなく、お互いを尊重し、対話を重ね、共に平和を追求していくことが、今求められている」と述べ、一日も早い停戦を願った。
今回の平和宣言は、初めて公募による県民意見を募集し、取りまとめた。県によると、個人5件、団体28件の意見が寄せられ、恒久平和への思いや、次世代に残したいもの、伝えたい思いなどについて、宣言へ反映させた。
在沖米軍基地を巡り「米軍専用施設面積の70・3%が集中し、基地から派生する事件事故、航空機騒音、水質や土壌の環境汚染など、県民は過重な基地負担を強いられ続けている」と強調。政府に対して、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の一刻も早い危険性除去と、移設に伴う名護市辺野古新基地建設の断念を求めていく決意を述べた。