宮古島の水道水から農薬成分を初検出 国の許容量以下、研究会が行政に調査求める


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 【宮古島】宮古島地下水研究会(共同代表・前里和洋、新城竜一、友利直樹)は28日、同会の調査で市下里の水道水と市内9カ所の地下水から複数の化学農薬成分を「微量ながら検出した」と発表した。検出量はいずれも国の定める摂取許容量を下回る。同会は「許容量内なので人体に影響はないと言い切れるのか、安全担保のためにも継続的な調査を行政に求めたい」と訴えた。

 水道水から検出されたのは、害虫防除剤として使用されるネオニコチノイド系農薬クロチアニジン(1リットル中21.7ナノグラム)とジノテフラン(同21.2ナノグラム)、フェニルピラゾール系農薬フィプロニル(同2.3ナノグラム)の3種類。国による1日摂取許容量の270分の1~1万4千分の1だった。

 市民10人の尿検査も実施し、全員からネオニコチノイド系農薬成分が微量ながら検出された。同会は摂取経路について「飲料水とは断定できない。食物からも考えられる。農薬成分の体内移行が起こっているとは言える」とした。同会は定期的に市内の水道水や地下水の成分分析を実施する。水道水からの農薬検出は初めて。今回は2021年11月~22年3月にサンプルを採取し、東京の民間調査所「農民連食品分析センター」に分析を依頼した。
 (佐野真慈)