沖縄戦体験者の減少はこれまでも言われてきたが、数字を突きつけられ、いよいよ現実になったと感じている。体験者から完全に話を聞けなくなる日が近づいている。ここを正念場と捉えて、腰を据えて継承の仕方を考えていかなければいけない。
一番、有効的なのはこれまで蓄積してきた記録の活用だ。特に沖縄は市町村史や字史で、身近な戦争体験の証言を載せたものを発刊している。2000年代ごろからは体験者の減少を見据えて記録に取り組んでいる。家族や親戚など身近な人の戦争体験や、戦争を知らない世代でもよく知っている場所で起こった出来事が記録されており、よりリアリティーを持たせる。
学校現場での記録の活用や戦跡巡りなどは、これまでも活発に行われてきた。沖縄戦を体験していない世代が、どう次の世代に沖縄戦を語るかが、今後はより一層問われている。
若手の地域ガイドや沖縄戦若手研究会など、沖縄戦を継承する若い世代は育ってきているが、それをどう広げていくかが課題だ。
(沖縄近現代史)