1972年の日本復帰から今年50年を迎えた沖縄。この間に社会資本整備は進んだが、経済的な課題はいまだ山積しており、1人当たり県民所得は全国最下位で推移する。低い県民所得は全国よりも深刻な子どもの貧困といった社会問題の根本原因とされ、政治には沖縄や県民をどう豊かにするかが問われる。参院選沖縄選挙区に出馬する無所属現職の伊波洋一氏(70)と自民新人の古謝玄太氏(38)=公明推薦=は、データとデジタル技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)化推進など新時代に向けた多様な沖縄振興策を掲げている。
伊波氏は持続可能な自立型経済の構築に向けて、DX化とイノベーション(技術革新)による産業振興に取り組むと主張する。他方で、沖縄振興予算が県外企業に還流する「ザル経済」を改善するため、国の公共調達の入札改革などによる県内企業の事業参入促進を図るとする。
古謝氏は社会情勢の変化に対応できるしなやかで強い沖縄経済の構築に向けて、「新5K経済(観光、健康、環境、海洋、起業)」を促進すると訴える。各産業のDX化推進のための人材育成・デジタル投資促進や起業環境を整備する「スタートアップアイランド構想」を掲げる。
沖縄振興に向けて政府が予算や制度などを担保する第6次沖縄振興計画(沖振計)が本年度から開始した。期限は10年間だが振計はこれまで第5次、50年間続いており、今後の在り方が問われている。本紙が政策アンケートでいつまで振計の仕組みを続けるべきか質問したところ、伊波氏は「課題がなくならない限り、当面は必要」、古謝氏は「6次振計の成果をみながら判断すべき」と回答した。
伊波氏は「10年ごとの見直しなどは否定しない」とした上で、全国平均よりも低い県民所得や全国の2倍に上る子どもの貧困率を挙げて、当面の継続は必要だとの認識を示した。
古謝氏は自立型経済の構築などに「国家戦略として取り組む必要がある」とする一方で、沖縄の特殊事情の変化を見ながら全国並みの予算や制度への移行も視野に入れる必要があるとした。
(’22参院選取材班)
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