採れないのになぜ「昆布」? うるま市の地名を知り愛着深め 由来をたどる本発刊


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地名の語源や歴史をまとめた「うるま市の地名」を発刊した名嘉山兼宏さん=うるま市喜仲公民館

 【うるま】うるま市民の必読書―。旧具志川市(現うるま市)の元教育長の名嘉山兼宏さん(81)がこのほど、うるま市の地名の語源や歴史をまとめた著書「うるま市の地名」を発刊した。コンブが採れないが「昆布」(具志川)や、勝連城跡の西側に立地するが「南風原」(勝連)など地名の由来をたどる。名嘉山さんは「地名は歴史の証人とも言われる。大切さを理解し関心を持ってほしい」と語る。

 出身地である「昆布」の由来を調べ始めたのがきっかけだった。「そこから次々にいろんな場所の地名が気になって」と名嘉山さん。民生委員を務めていた時には広報に「地名散歩」と題して、20年以上にわたって地名の由来を紹介した。本書では、地区ごとに整理し、余話も掲載している。

 名嘉山さんの「地名好き」の端緒となった昆布は「天願から分離独立した時に『よろこんぶ』(喜ぶ)と好字を当てた」という説を紹介。加えて、くぼ地だった同地が語源変化で「くーぶ(昆布)」となり、分離独立の喜びと重ねて「昆布」と命名表記されたと解説している。

 発刊に当たっては「大日本地名辞書」のほか「南島風土記」、柳田国男全集なども参考にしたという。語源に加えて地域の歌や道の紹介もある。

 名嘉山さんは「地名は大地に刻まれた文化遺産だ。一つ一つに意味がある。みなさん愛着があると思うが、歴史を知ったらさらに愛着が増す。ぜひ手にとってほしい」と呼び掛けた。

 「うるま市の地名」は市みどり町の幸文堂、市安慶名の教学館、市石川の大城書店で税込み1300円で販売している。
 (新垣若菜)