auなどを展開する携帯大手のKDDIで、2日未明から通話やデータ通信がつながりにくくなった影響で、沖縄県内のauショップには問い合わせが殺到したほか、新型コロナウイルスの県対策本部による感染者の健康観察が実施できなくなるなど、さまざまな業務に支障が出ている。復旧のめどが立たない中、KDDI子会社の沖縄セルラーは「多大なご迷惑をおかけしますことを深くおわび申し上げます」とコメントした。緊急電話も利用しづらいため、固定電話や公衆電話の利用を呼び掛けている。
沖縄セルラーによると、対応策などについてKDDI側と会議を重ねつつ、コールセンターに寄せられる影響を情報収集しているが「お客様からの情報も入りづらい」状態という。
県によると、新型コロナの県対策本部や保健所で感染者への健康観察に使用していた数十台のau携帯電話が使用できなくなった。対策本部側は固定電話に切り替えたが、au回線を利用する感染者には連絡が取れないという。また、健康管理業務を効率化するため、感染者への初回連絡にショートメッセージ(SMS)を使って、県のホームページなどを案内していたが、2日午後から使えなくなったという。感染症総務課の城間敦課長は「自宅療養者は急変時などに119番通報できるよう、他社の携帯か固定電話の準備をしてほしい」と呼び掛けた。
那覇市内のauショップには、通信障害に関して電話だけでなく、約40組が来店したという。機種によっては通話とインターネット通信の両方が使用できなくなったと相談されるが、「私たちにも詳細な情報が入ってこないため、具体的な対応策を説明できないのが心苦しい」とこぼした。
利用者は一刻も早い復旧を望む。au携帯を利用する女性(37)は「私は仕事が休みなのでLINE(通信アプリ・ライン)での連絡で済むが、友人は仕事相手に電話ができず困っていた。早く復旧してほしい」と話した。
親族の訃報の連絡で電話がうまくつながらず、戸惑った高齢者もいた。何度も電話が切れてしまい、娘のLINEに告別式の情報を転送してもらってようやく把握できたという。両親が「ガラパゴス携帯」(ガラケー)を使っているという女性(43)は「親と全く連絡が取れなくなったので心配です」と語った。
(金盛文香、嘉陽拓也)