地域の戦争、生徒らで取材・制作し動画に あの番組風に作り各クラスで学ぶ 那覇・城北中


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城北中学校が制作した動画の一場面。金城眞徳さん(左)から慰霊碑について説明を受ける上原七海さん

 【那覇】那覇市立城北中学校(仲盛康治校長)の生徒と教諭が、学校近くの伊江御殿別邸庭園にある日本軍戦車第27連隊の慰霊碑に関する動画を制作した。6月22日に各クラスで放送し、地域の戦争について学んだ。

 戦車第27連隊は沖縄戦当時、伊江御殿別邸周辺に陣地を構え、米軍との戦闘で多くの兵士が戦死した。慰霊碑は1976年、同隊の生存者と伊江家当主だった元沖縄開発庁長官の伊江朝雄さんらが建立した。地元住民らが毎年、慰霊の日に慰霊祭を開催している。

 動画制作は、仲盛校長が住民から慰霊碑について教えてもらったのがきっかけ。生徒会と岡部彩花教諭、林達也教諭が中心となりテレビ番組「ブラタモリ」風に作った。

 内容は、生徒会副会長の上原七海さん(3年)が、地域に住む金城眞徳さん(80)と玉城俊光さん(74)に伊江御殿別邸や慰霊碑についてインタビューするというもの。金城さんは戦後も城北小学校運動場のそばに破壊された戦車が残っていたことなどを振り返り、「戦争に正義はない。権力者が戦争をすると傷付くのは弱い国民だ」と語った。

 動画を見た生徒からは「戦争は自分に関係ないと思わず、平和を保つために何ができるかを考えたい」「戦争を体験した人から話を聞く機会も少なくなっていくので、自分なりに平和について考えたい」などの感想があった。
 (伊佐尚記)