KDDI(au)の大規模通信障害を受け、地域会社の沖縄セルラー電話(那覇市)がサービスを展開する県内でも、サービスを利用する事業者の業務に支障が出た。顧客との連絡が滞って作業に遅れが生じたり、固定電話やウェブのコミュニケーションツールへの代用を余儀なくされたりするなど、各社は対応に追われた。
「大混乱だった」。県内物流大手のあんしん(浦添市)の担当者は、障害が起こった土曜からの状況を振り返る。ドライバーに支給する携帯は全てau。ドライバーと客、本社とのやりとりに支障が出て、配達遅延が発生した。予定していたうちの3分の1が配送できなかった部門もある。
沖縄ヤマト運輸(糸満市)でも同様のトラブルが起き、コールセンターは電話が集中し、なかなかつながらない状態となった。
土日は引っ越しも多い。沖縄引越センター(浦添市)は客とは電話で基本的にやりとりしており、引っ越し前日に実施するルート確認ができなかった。担当者は「(週末は)台風の予報だったので、どうなるのかと気にするお客様も多く、問い合わせも集中した」と状況を説明した。
琉球銀行(那覇市)でも全職員にauの携帯を支給している。週明けの4日も電話がつながりにくいトラブルがあるため、固定電話やオンラインツールを使い対応した。ホームページでも注意喚起し、顧客に対し固定電話に連絡するよう呼び掛けた。
大同火災海上保険(那覇市)は車両の事故や故障の際に、契約者がロードサービスの受け付けができないケースがあったという。同社は「代理店は契約者とのやりとりは電話が多く、つながらなかったケースもあるかもしれない」と話した。
航空、旅行業界も影響を被った。日本トランスオーシャン航空(JTA、那覇市)と琉球エアーコミューター(RAC、同)、大手旅行会社のJTB沖縄(同)は4日午前まで回線がつながらなかったが、メールや固定電話で対応することで、業務上の支障をきたすことはなかった。
RACの関係者は「障害の発生が平日なら、支障はこの程度では済まなかっただろう」と肝を冷やした。
(小波津智也まとめ)