ストレリチアの産地復活へ 沖縄県勢で初の優秀賞 JA営農指導員全国大会


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「県産のストレリチアは品質も良く県外からも引き合いが強い」と話す金城亮一さん=南風原町津嘉山の共撰場

 今年2月にオンライン開催された「2021年度JA営農指導員実践全国大会」に九州代表として参加し、ストレリチアの産地復活への取り組みについて発表したJAおきなわ南部地区営農振興センター農産部花卉指導課の金城亮一さん(36)が優秀賞に輝いた。同大会で県勢が優秀賞を受賞するのは初めて。

 極楽鳥花の和名で知られるストレリチアは沖縄が日本一の生産量を誇る県の戦略品目。南風原町を中心とする本島南部地区は県生産量の9割を占める一大産地となっているが、土壌病害で起こる立ち枯れが課題だった。近年は異常気象による豪雨や台風の影響で被害がより一層広がり、生産量が減少していた。JAや行政が一体となって、原因の究明や対策検討に取り組んでいたが根本的な改善策には至らず、生産地存続の危機に追い込まれていた。

 南風原町出身で、幼い頃からストレリチアが身近にあった金城さんは「なんとしても地元の産地を守りたい」という思いで原因究明と防除対策に乗り出した。2014年から南部地区の全農地を調査したほか、自らストレリチアの栽培試験を実施し、立ち枯れの原因究明に成功した。今後さらに作付希望者が増加することを見込み、種苗の供給体制も整備。苗不足の課題を解消することで、農家の栽培意欲の向上や栽培面積の増加に寄与した。

 金城さんは「課題解決に向け粘り強く取り組んだことと、自らが実際に栽培し試験結果を『見える化』したことで、解決策の説得力となり、生産農家が指導員として認めてくれるようになった」と振り返る。安定生産と品質向上が実現すれば、次の課題は「販売と流通」だとし「一般家庭でも気軽に飾ってもらえる花に押し上げ、農家の所得向上につなげたい」と前を見据えた。 (当銘千絵)