赤字4億円理由、5人に解雇通知 さとうきび振興組合 従業員、撤回求め団体交渉へ


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 一般財団法人「沖縄さとうきび振興組合」(理事長・當銘真栄糸満市長)が、経営再建を図るため同組合の従業員5人を7月31日付で整理解雇することが5日までに分かった。従業員らは「突然の解雇通知はあまりにも乱暴で受け入れられない」と雇用の継続を訴えている。

 6月29日の理事会で決議され、30日付で従業員らに予告通知書を手渡した。関係者によると、同組合の累計赤字は4億円に上る。通年雇用の従業員を解雇し、製糖期の12月~翌3月に季節工を雇用することで経費削減を図る計画だという。

 同組合は、うるま市にある沖縄本島唯一の製糖工場、ゆがふ製糖内に工場を構える集中脱葉施設で、農家が持ち込んだサトウキビの枯れ葉を除去する「脱葉」の業務を担う。参加団体にはサトウキビの生産が盛んな本島内の16市町村やJA沖縄信用農業協同組合連合会などがあり、理事には市町村の首長やゆがふ製糖の社長らが名を連ねる。

 同組合は、ゆがふ製糖が設立された2015年に当時の翔南製糖(豊見城市)から移転したが、厳しい経営が続いていたという。従業員に配られた「解雇理由書」には、今年6月末時点の累積欠損額が4億1276万円に達したとし「今後もさらなる赤字経営が見込まれる」と説明。ゆがふ製糖へ設備修繕や運転オペレーションを業務委託することで、経費の圧縮を図る方針を示した。

 従業員らは6日、整理解雇の撤回を求めて組合理事らと団体交渉をする方針。従業員の男性は「若い働き手もいる中で解雇されれば路頭に迷う。なんとか交渉して妥協点を見いだしたい」と述べた。
 (当銘千絵)