〈113〉変形性膝関節症 骨切り術で日常生活維持


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 変形性膝関節症は女性に多くみられます。O脚となり、高齢者になるほど罹患率が高くなる運動器疾患です。主な症状は膝の痛みと水がたまることです。

 初期では立ち上がり、歩き始めなど動作の開始時のみに痛み、休めば痛みがとれます。ですが段々と正座や階段の昇降が困難となり(中期)、末期になると安静時にも痛みがとれず、変形が目立ち、膝がピンと伸びず歩行が困難になります。

 症状が軽い場合は痛み止めの内服薬や、湿布、関節内ヒアルロン酸注射などをします。また大腿(だいたい)四頭筋強化、関節可動域訓練等のリハビリを行ったり、装具等での治療を行ったりします。

 このような治療でも治らない場合は手術治療も検討します。手術治療は年々進化してきており、最も有名な術式は人工膝関節置換術ですが、最近注目を集めてきているのが「膝周囲骨切り術」です。

 骨切り術とは、脚の形をO脚から軽度のX脚に変える手術で、自分の骨を切って角度を変えることで、内側に偏っている荷重ストレスを反対の外側に移動させます。自分の関節を温存し、機能を維持できるため、術後骨癒合が得られれば、日常生活にほとんど制限がありません。

 O脚の程度が小さければ脛骨(膝より下の骨)のみ、強ければ大腿骨(だいたいこつ)・脛骨双方での矯正を行います。骨を切るため、癒合が得られるまでの初期はリハビリに時間を要します。

 しかし、骨癒合が得られれば、術前の痛みがとれ、人工関節では制限のある激しいスポーツ活動も可能となります。また人工関節では正座はできませんが、骨切り術は自分の関節を温存しているため、術後正座が可能となる場合があります。

 今後医療が発展すると、半月板や軟骨再生などの最新の再生医療の恩恵を受ける可能性を残せます。実際の手術適応には多少条件もありますが、膝専門外来を受診して主治医と相談した上で術式が決定されます。膝が痛くてスポーツを諦めかけている方、可能性のある骨切り術で今後の人生が変わるかもしれません。

(新垣和伸、KAZUクリニック 整形外科)