近年の食材費高騰の影響で給食調理現場が対応に苦慮している。琉球新報が5日までに県内11市に取材したところ、現時点で食材費高騰による給食費の値上げを予定している市はないが、複数の市が「食材高騰が続けば今後、値上げを検討せざるを得ない」としている。半数超の市で栄養を維持しながら安い食材を使うなどの工夫をしているほか、食材費の増額分を新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金で補う市もある。
名護市と宮古島市は給食を無償化しており、変更の予定はない。
那覇市の首里学校給食センターでは2022年度、使用するほぼ全ての食材が前年度より高くなったという。島豆腐は前年比約2割増の1キロ当たり394円になった。給食でよく使うタマネギも不作などの影響で5月は特に高騰した。量を減らしたり、皮がむかれたタマネギではなく低価格の皮付きタマネギを仕入れたりしたという。そのほか、コストが高い袋詰め麺の使用を減らして乾麺を増やしたり、豚肉を鶏肉に変えたりといった工夫もしている。
沖縄市では、コロナの影響で余ったモズクなど県産食材の無償提供も活用している。担当者は「これまで業者に委託していたパンに切り込みを入れる作業を省くなど、少しでも費用を抑えている」と話した。
政府は、コロナ下の給食費値上げによって保護者の負担が増えないよう、食材費の増額分に地方創生臨時交付金を活用できるとしている。糸満市と浦添市は同交付金を財源に、給食費の不足を補う補正予算を市議会6月定例会にそれぞれ提案し、可決された。
浦添市の学校給食調理場の安慶田忠所長は「コストのかかる揚げ物を炒め物に変えたり、季節によって安くなる野菜を利用したりしていたが、補正予算が通ったことで通常のメニューに戻せた」と話した。那覇市やうるま市なども同交付金の活用を予定している。
(伊佐尚記まとめ)