資材高騰で経営危機 畜産農家ら 国、県に支援要請


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危機を乗り越えようとガンバロー三唱する畜産関係者ら=7日、豊見城市の沖縄空手会館

 世界的な生産資材価格の高騰によって畜産農家の経営が圧迫される中、JAおきなわなど畜産関係7団体で構成する県畜産経営危機対策本部は7日、豊見城市の沖縄空手会館で県畜産経営危機突破生産者大会を開いた。「危機突破」と書かれたはちまきを巻いた県内の畜産農家ら250人が結集し、国や県に緊急支援を求め、消費者に生産現場の窮状を訴えた。

豊見城で生産者大会

 世界的な穀物需要の増加に加え、円安の進行やロシアのウクライナ侵攻などにより、燃油や穀物、肥料原料などの価格は高騰を続けている。特に畜産経営で生産コストの大半を占める飼料費は2022年7~9月期の配合飼料価格が、これまで過去最高の値上げ幅だった1トン当たり5500円(21年4~6月期)の2倍以上となる1万1400円の値上げとなった。

 国産の畜産物は、販売価格に生産資材の高騰分をほとんど転嫁できないことも、県内の畜産経営を著しく圧迫している要因の一つだ。例えば配合飼料価格が1キロ当たり10円上昇した場合、生産コストは10個入りの卵1パック当たり約13円増加し、鶏肉は100グラム当たり約3円増加する。

 大会では、価格高騰は畜産経営個々の自助努力の限界を超えている状況であることを共有。その上で、飼料価格高騰に対する負担軽減策の実現や再生産可能な価格形成に向けた理解醸成の実施など4項目を国や県への要請決議として採択した。

 生産者代表であいさつした山城畜産の山城善市代表は、飼料価格の高騰で肥育牛250頭の飼料代は年間1千万円増額する見込みだと説明。「若い経営者が安心して取り組めるよう国や県に支援をお願いしたい」と訴えた。JA沖縄中央会の普天間朝重会長は、畜産経営はかつてないほどの危機的状況に直面していると強調。「消費者へ広く知ってもらい理解醸成につなげたい。生産者が誰一人として諦めることがないようスピード感を持ってこの危機を突破できるように頑張ろう」と激励した。

 (当銘千絵)