スイス・ジュネーブで開かれている国連の先住民族の権利に関する専門家機構(EMRIP)の会合で6日、琉球民族独立総合研究学会の親川志奈子共同代表らが登壇した。国連教育科学文化機関(ユネスコ)が「消滅危機言語」としている琉球諸語について「日本政府は言語の再活性化に向けた手だてを講じていない」と批判した。サイドイベントなどでも日米両政府が民意を無視して名護市辺野古新基地建設を進めていることや、米軍関係者による女性への性暴力などについて報告した。
親川さんは世界各地の先住民族の代表者が参加する会合で「祖父母や両親、私や子どもたちの世代のいずれも、公教育で琉球の言語を学ぶ機会を与えられていない。政府が琉球の人々を先住民族と認めていないからだ」などと発言した。
「先住民族の女性に対する暴力」をテーマとしたパネル討議には、同学会の会員で米国カリフォルニア大学サンタクルーズ校の大学院生アレクシス大城(うふぐしく)さん(26)が登壇した。
沖縄は米国と日本による「二重の植民地主義」に直面しているとして「もう一方の当事者であるはずの米政府が何も反応しないのはどういうことか」と述べた。
親川さんは、5日に日本政府の代表者が「沖縄で自分たちを先住民族と認識している人は少ない」との見解を示したことに対し「日本で『先住民族』という言葉が植民地の人々を排除し、差別するために使われてきた歴史がある」と述べた。
その上で「政府は住民投票の結果を無視し、民主主義を軽視して他国の軍事基地建設を続けている。植民地主義の露呈だ」と訴えた。
(宮城隆尋)