安倍晋三元首相が8日、参院選の選挙応援中に凶弾に倒れたことに、沖縄県議会与野党は一様にその死を悼むと同時に、「民主主義に対する挑戦だ」「暴力、テロ行為は許されない」と事件を非難する声が上がった。
安倍氏が所属する自民党の県議会会派は県議会の一般質問終了後、緊急の議員総会を開き、黙とうをささげた。「民主主義の根幹である選挙が行われている最中の今回の蛮行は民主主義に対する挑戦であり、断固として抗議する」とのコメントを発表。9日の参院選の選挙戦最終日は「暴力に屈しないという決意のもと、最後まで訴えを続けていく」とした。
同党県連会長の中川京貴県議は「首相時代には離島、経済振興などに取り組んでもらった。沖縄にとって大切な人を亡くした」と語った。
名護市辺野古の新基地建設問題などを巡り、安倍政権と対峙(たいじ)してきた県政与党も安倍氏を追悼した。
与党最大会派てぃーだ平和ネット幹事長の当山勝利県議は「基地問題など対立事案があった一方、沖縄振興で頑張られたこともあり、沖縄に政治的に大きく関わった」と冥福を祈った。
「暴力で言論が封じられ、人命までも奪われたことに憤りを禁じ得ない」(立憲おきなわ会派長の仲村未央県議)などと非難する声が全会派から上がった。
一方で、安倍氏が選挙応援中に発生した事件であったことを踏まえ、おきなわ南風会派長の平良昭一県議は「今後は選挙運動も危ないとなって、萎縮しないだろうか」と危機感を示した。
(大嶺雅俊)