北部振興や辺野古、名護市長経験者3人が語る安倍氏の評価 銃撃事件受け


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名護市役所(資料写真)

 【名護】米軍普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古への移設問題や北部振興策で自民党政権とのつながりが強かった保守系の元名護市長、島袋吉和さん(75)、比嘉鉄也さん(94)は8日、安倍晋三元首相の銃撃事件を受け「暴力による言論弾圧だとしたら許されない」(島袋さん)、「歴代の政権と同じように北部振興に尽くしてくれた」(比嘉さん)などと話した。辺野古移設に関し安倍政権と対立した前市長の稲嶺進さん(76)は9日、「非暴力を貫くことで言論がある。これで(物事を)変えるというのは言語道断だ」と述べた。

 安倍氏の前任の小泉純一郎政権時に、政府とV字の滑走路建設に合意した島袋さんは「直接会ったのは数回だと思うが、官邸で会ったときもに快く迎えてくれた」と振り返った。「平和な日本で銃弾に倒れるなんて」と声を詰まらせ「暴力は絶対に許されない」と強調した。

 1997年に辺野古移設受け入れを表明した比嘉さんは「名護市議会議長時代に初めて自民党本部で会ったが、にこやかに応じてくれた。信じられない」とうつむいた。「安倍さんを批判する報道も多かったが、それで狙撃まで発展するとは思えない。一体何があったのか」と首をひねった。

 稲嶺さんは「平和が重んじられる日本でこんなことが起こるとは、まったく信じられなかった。沖縄には非暴力の思いがある。民主主義は違いを認め合うことが重要であり、これで解決するという社会があってはならない」と語った。

(松堂秀樹、増田健太)