台所にいくつも並ぶ大鍋でぐつぐつ炊いた「てびち煮付け」が看板メニューの和泉食堂(沖縄市池原)。うるま市石川で1979年に創業し、金武町屋嘉を経て、2018年に沖縄市に移転した老舗食堂だ。
創業者の比屋根安正さん(74)の息子で、現在店長を務める寛人さん(47)は、東京で中華料理を約5年修行した。その経験が生きる「ソーキの黒酢で酢豚」(900円)も評判が高い。
味もさることながらボリュームも人気の理由。売り上げの約半分を占めるてびち煮付け(900円)は、ひと皿にてびちが5~6個、豆腐や大根、ニンジンなどと一緒に山盛り。働き盛りの人や家族連れの胃袋を満たす。盛り付けは必ず寛人さんがする。「どれだけ入れたらお客さんが喜ぶか」を目安に入れるのだという。
てびちは国産、県産を利用。臭みを抑えるためには「新鮮さが命」で、圧力鍋は使わず4時間ぐつぐつ煮るのがこつだ。
隠れ自慢メニューは定食に付くミニそば。「毎日大量のてびちやソーキを煮るので、いいスープが取れる。時代と共に沖縄も食堂が減り、手間と時間をかけて良いだしを取る店も減ってきた。この食堂文化を守りたい」と寛人さんは意気込む。
営業は午前11時から午後8時。沖縄市池原4の1の14。月曜定休。(電話)098(923)1503。
(島袋良太)