妙武館、十段2人認定 空手、残波岬で奉納演武


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(左から)円熟した演武を見せる十段範士の山川正男さん=6月18日、読谷村。軽やかで洗練された演武を披露する十段範士の岸本美一さん

 【読谷】沖縄小林流妙武館で、浦添支部の山川正男支部長(85)=浦添市=と兵庫本部の岸本美一会長(74)=兵庫県=が最高位の十段に昇段した。6月18日、読谷村の残波岬公園内にある「拳聖・新城平太郎先生顕彰碑」で認定証の授与式と奉納演武が行われた。山川さんは「一生懸命頑張ってきたことが認められた」と柔らかい笑顔で話した。岸本さんは「これからも琉球の手(てぃ)を伝えていきたい」と気を引き締めた。

 妙武館は、始祖・松田芳正会長(82)が1960年代に始めた。松田会長は読谷村出身の空手の達人、新城平太郎氏の弟子だ。新城氏は「チャンミーグワァー」こと喜屋武朝徳氏の技を受け継いでいる。道場は県内に5カ所、県外にも複数カ所あり、門下生は現在、200人以上に上る。

 山川さんは、妙武館ができる前から松田会長に師事してきた。浦添市内の自宅で家族5人で鍛錬を積み、その後、自宅が浦添支部となった。思い出に残っているのは、75年の沖縄国際海洋博覧会のセレモニーに出演し、家族で演武を披露したことだ。「妻と子どもたちの支えのおかげで今がある」と感謝は尽きない。

 岸本さんはもともとは柔道家だった。74年に道場破りで来県したことが入門のきっかけだった。中学校で柔道部の顧問をしていた岸本さんは、柔道に空手の技を取り入れることで強豪校に育成した。全国大会の常連校にし、在籍中に2度の全国制覇を成し遂げた。

 奉納演武では山川さんがパッサイ小、岸本さんが封じ手を披露した。それぞれ余計な力が入っていない円熟した技を見せた。松田会長は「心技体がそろっているだけでなく、社会に貢献し、人間力を高めてきた。これからも道場から優秀な人材を世界に輩出してほしい」と期待した。
 (古川峻)