本島北部の回遊へ基盤整備が必要 沖縄観光の今後、JTB社長の山北栄二郎氏<焦点インタビュー>


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沖縄観光について語るJTBの山北栄二郎社長

 旅行業最大手のJTB(東京)が県内の宿泊事業者とつくる会員組織、JTB協定旅館ホテル連盟沖縄支部連合会(会長・平良朝敬かりゆしオーナー会長)が今年で創立50周年を迎え、5日に開いた記念シンポジウムで沖縄観光のこれまでと未来を語った。来県したJTBの山北栄二郎社長(58)に、コロナ禍から回復を目指す沖縄観光の今後について聞いた。

 ―国内の観光状況をどう見るか。

 「個人だと広域で動くことが多くなり、コロナ禍前に近い状況になってきた。法人の動きはまだ難しい」

 ―外国人旅行客の戻り方とペース、誘客方法をどう見ているか。

 「現在インバウンドの問い合わせは多い。水際対策として2万人の入国制限がある限り急激には戻らないだろうが、緩和されればかなりのスピードで戻るだろう。コロナ禍前の外国人観光客の3分の1は中国人だったが、中国は国を開いていないのでしばらくは戻らない。対してアメリカやヨーロッパは円安の影響で拍車がかかり、アジア諸国も合わせて動き始めると考えている」

 「現在は団体客しか入国できないので、規制緩和がされて個人で動けるようになった時に、魅力あるコンテンツをマーケットにどう届けるかが大事になる。各地域のコンテンツをデジタルで届けられるようなプラットホームやコンテンツの準備をしている」

 ―沖縄観光の課題はどこにあるか。

 「滞在日数、消費単価が低いことで、周遊の形がとれていないことだ。本島北部に足を伸ばす動線が必要なので、回遊型のコンテンツをしっかり作り、表現することが大事だ。北部に行くだけでも日数は伸びるので、消費単価を増やせる」

 ―JTBの沖縄方面の戦略は。

 「テーマパークへの参画や観光コンテンツの素材開発から、回遊コンテンツを作ることだ。誘引できる大きなものと、それ自体が目的になるようなものが必要だと考えている。それに向けてインフラの整備や、2次、3次交通の整備が必要だ」
 (聞き手 與那覇智早)