岸田首相に菅前首相、茂木幹事長は4回も…自民大物支援の副作用とは<激闘の舞台裏>1後半


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古謝玄太氏(左)の応援で県内に入る菅義偉前首相=6月25日、うるま市

「オール沖縄」現職に僅差…自民に足りなかったもの 知事選へ「波高し」から続く
 


 参院選の選挙戦最終日を迎えた9日。那覇市おもろまちで開かれた自民新人の古謝玄太氏(38)=公明推薦=の打ち上げ式で、自民党の茂木敏充幹事長が「38歳の働き盛りの古謝玄太にいかに私が、自民党が大きな期待を持っているか」と聴衆に訴えた。茂木氏は公示前後、沖縄に4回も入り、最終日は街宣車に乗り込み自らマイクを握るほどの力の入れようだった。

 9月の県知事選を見据えて沖縄選挙区を最重要地区と位置づける自民党本部。茂木氏のほか岸田文雄総裁(首相)や菅義偉前首相、河野太郎広報本部長、小泉進次郎前環境相ら党幹部や閣僚が連日沖縄入りした。

 「大物政治家」の沖縄入りは知名度不足が課題だった古謝氏の知名度向上につながるとともに「党本部の力の入れようが見える。引き締まる」(経済界関係者)という効果をもたらした。

 ただ“副作用”もあった。別の経済界関係者は「応援演説への動員で力を割かれ、集票作業が満足にできなかった」とこぼす。県連関係者は「ああいうやり方をしたからここまで票を伸ばせたのか、それとも他のやり方があったのか」と苦悩の表情を見せた。

 「辺野古移設を進め、普天間飛行場の全面返還を1日も早く実現しなければならない」。総裁として9年ぶりに沖縄で選挙演説をした岸田氏は1日、米軍普天間飛行場のある宜野湾市で500人超の聴衆を前にこう訴えた。

 新基地建設容認を公約集にも記載した古謝氏。賛否をあいまいにする戦略を取ったり、言及を避けたりしたこれまでの自民候補とは一線を画した。古謝氏は「保守系の支持者から『よく言った』と評価された」と選挙戦中の本紙インタビューに明かした。

 自民県連関係者は今回の僅差の敗北について、主要2氏以外の候補者に保守票が流れたことや一部地域での低調な集票活動が要因だと分析し「基地問題で負けたわけではない」と語る。

 知事選では新基地建設のスタンスをどう示すのか。同関係者は「普天間の危険性除去が原点だ。新基地建設が進んでいる以上、県民には知事選で改めて問うべきではないか」と強調した。
 (’22参院選取材班)