「オール沖縄」現職に僅差…自民に足りなかったもの 知事選へ「波高し」<激闘の舞台裏>1前半


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古謝玄太氏(左)の応援演説をする岸田文雄首相(中央)。知事選立候補予定の佐喜真淳氏(右)もともに支持を訴える=1日、宜野湾市

 「この参院選を落としたら、知事選は話にならない」。6月22日、第26回参院選公示日の朝。自民擁立の古謝玄太氏=公明推薦=の出陣式に参加した自民県連幹部はこう断言し、勝利への執念を燃やした。

 自民が目指すのは県政奪還。県内最大の政治決戦となる9月の県知事選での勝利が最重要課題だ。参院選での勝利は目標達成の「前提条件」に据え、自民党本部の全面支援も受けて組織戦を展開した。

 選挙戦序盤から全国的に自民大勝の情勢情報が流れる中、党本部は現職との接戦が予想された沖縄選挙区を「重点地区」に位置づけた。

 総務省や民間企業で勤務するなど県外でキャリアを築いた古謝氏の擁立が決まったのは、投開票の4カ月前に迫った今年3月だった。

 課題となる知名度不足を解消しようと、党本部は党総裁の岸田文雄首相をはじめとする党幹部や閣僚を連日投入。岸田首相や茂木敏充幹事長の派閥からは数十人規模のスタッフが派遣され、支持拡大に動いた。

 党本部や公明県本と連携して組織票を積み上げ、38歳の若さを武器に無党派層を中心とした若年層にも浸透した。ただ地域の集票作業を担う地方議員らと接し「人間関係」(陣営関係者)を築く時間は足りなかった。

 多くの市町村で伊波洋一氏の得票を上回ったものの、保守系首長や保守系議員が多い地域で想定以上には票を上積みできず、革新地盤では伊波氏に引き離された。

 結果は2888票差での敗北。

 「波高しだ」。僅差とは言え敗れた結果を受けて、冒頭の県連幹部は知事選に向けこう漏らした。
 (’22参院選取材班)

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 全県選挙としては近年まれにみる大接戦となった参院選沖縄選挙区の舞台裏を振り返る。


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