救急対応遅れで熱中症1人死亡 浴びせられる罵声、診察4~5時間待ち 医師会と病院長の緊急会議で語られたこと


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 沖縄県は15日、新たに3462人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。

 新規感染者が4日連続で3千人を超える中、県医師会(安里哲好会長)は同日、救急医療が逼迫(ひっぱく)した影響で、対応が遅れた熱中症患者が亡くなる事例があったと明らかにした。中田安彦常任理事は「助けられる命を助けられないのは、医者としてこれほど苦しいものはない」と訴えた。

 那覇市保健所は同日、所内で計22人が感染するクラスター(感染者集団)が発生したと発表した。

 医師会は同日、救急搬送を受け入れる6医療機関の病院長と非公開で緊急会議を実施した。安里会長は会議後の会見で、県内の救急医療受診者はコロナ前から他県より約5倍多い中で、コロナ禍で軽症者が殺到し、心筋梗塞や脳卒中など生命に関わる患者に対応できなくなっていることを説明した。

 受診まで4~5時間待つことが常態化したことで「受診者からの罵声で心が折れて、辞めたいと訴える看護師もいる」(田名毅副会長)という。

 県医師会は県民に夜間や休日の救急受診を控えることを呼びかけ、現場負担を減らすため、各地区医師会に発熱外来の対応施設を拡充するよう通知したという。

 会議では、各病院長から県に社会的な行動制限を求める声があったという。県医師会としては「経済・社会活動を維持しながら医療も守る狭き道を進む」(安里会長)との見解を示した。  

(嘉陽拓也、伊佐尚記)