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近年、地球温暖化をはじめとする気候変動が深刻さを増している。国内唯一の亜熱帯県である沖縄でも、このまま温暖化が続けば県の戦略品目であるマンゴーやサヤインゲン、キク類の生育に影響を及ぼす可能性が指摘されている。
県によると、マンゴーは冬場に一定程度温度が下がらなければ花芽分化が正常に行われず、着花不良を引き起こす。サヤインゲンも受粉が行われにくくなり、さやが付かずに落花する。キク類は通常、親株から穂を取って畑に植えるが、高温が続けば親株の畑が生育不良となる恐れがあるという。
県の担当者は「農作物は年ごとの気象条件により生育にばらつきがあるため、現時点では(温暖化との)因果関係を断定することは難しい」とした上で、近年これらの品目で一部、温暖化の影響と見られる現象が農家や調査員から報告されていると指摘する。「気候変動に対応した栽培技術の確立のため、国には試験研究費や現地実証ほ場のさらなる予算化を求めたい」と述べた。
JAおきなわの担当者も、現時点で直接的な影響が出ているわけではないものの、特に果樹は気候変動の影響を受けやすいとし、「このまま気温が上がり続ければ農作物の天敵である台風や干ばつの頻発も起こりかねない」と危惧する。
年間10~15トンを出荷する豊見城市のマンゴー農家(67)は、良質のマンゴーを育てる条件の一つに「温度の適正管理」があると指摘する。亜熱帯果樹のマンゴーであっても一定程度の寒暖差がなければ生育が難しくなるとし「県産ブランドを守り続けるためにも、環境問題を自分ごととして捉え考えたい」と述べた。
(当銘千絵)