高齢者が施設で急変したら…沖縄コロナ、救急ひっ迫に募る不安 療養者577人最多


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 新型コロナウイルスの感染が急拡大して医療が逼迫(ひっぱく)する中で、高齢者施設は危機感を募らせている。16日、施設内療養者は577人(高齢者467人、障がい者110人)と過去最多を更新した。施設利用者がコロナ感染した場合、施設内療養となる人が多く、体調が急変した場合に救急医療にかかりづらい状況への不安が強まっている。

オミクロン株の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所)

 那覇市内の介護老人保健施設の担当者は「病院みたいな医療機器があるわけではないので、施設内療養に不安がある」と話す。

 5月に入居者3人がコロナに感染した。無症状だったため施設内療養となったが、今後有症状の感染者が出た場合の対応に不安を抱く。

 同施設では先週、コロナではない利用者が急きょ体調を崩して酸素投与が必要な状態となり、救急車を呼んだ。しかし到着までに30分以上かかった。

 病院で療養後体調は安定したが、担当者は「病歴や疾患を持つなど、体調が急変してもおかしくない人を預かっている。いざという時に対応先が見つからないとどうしようもない」と懸念した。

 沖縄市の特別養護老人ホームでは、利用者の体調が急変した際に受け入れ病院を探すまでに3件断られた。

 担当者は「利用者がコロナになった場合、介護職員が24時間病院にいるわけではないので何かあった時の対応が心配だ」と話し、コロナの感染拡大への不安を強める。

 那覇市内の特別養護老人ホームの担当者は「利用者を預かっている責任があり、この2年間どこにも行けていない」と話す。

 最近では家族の感染で休む職員がおり、現場の人手が足りない状況も増えた。「病院がいっぱいのため、利用者が感染したら終わりだと思って対策は一切緩めていない」と話した。

(中村優希)