海邦総研(新垣学社長)は14日、県内企業における新型コロナウイルス感染症関連融資の利用に関する調査をまとめ、融資を「借りた・借りている」との回答が55・1%の過半数を占めたと発表した。返済に「懸念がある」が観光関連を中心に21・1%に上り、新型コロナの収束などによる観光客増加が県経済回復の鍵であることが改めて浮き彫りとなっている。
「借りた・借りている」と回答した企業を業種別で見ると、飲食サービス業が最大の80・0%で、製造業71・1%、建設業58・3%と続いた。観光客減少の影響を受けているとみられる旅行・宿泊業は54・8%で、全業種の水準を下回った。
借入総額の規模は「5千万円以上1億円未満」が25・6%と最も多かった。使途は「人件費」が最大の62・3%だった。「手元資金としてプール」が46・2%を占めており、コロナ禍による不安で融資を受けた企業も一定数いたとみられる。
元金据え置き期間についてはばらついているものの、3年未満が61・9%を占めた。返済に向けての対応(複数選択可)として「据え置き期間の延長」が30・5%となり、「実質無利子期間の延長」が14・3%、「追加融資」が13・9%と続いた。
返済見通しでは「できそうだ」が67・7%だった。全額返済の企業はゼロ。懸念がある企業を業種別で見ると、旅行・宿泊関連が35・3%。こうした企業について海邦総研は、支援機関が廃業や吸収合併などの施策を選択肢に持ちながら支援する必要性を強調している。
調査は6月に実施。県内に本社のある405社から回答を得た。(小波津智也)