【北部】「世界遺産普及講座inやんばる」(琉球弧世界遺産フォーラム主催)が14日夜、辺土名高校(大宜味村)で開催された。同校生徒が希少種のホントウアカヒゲと侵略的外来種マングースの生息域について研究報告し「従来の生息地である沖縄島全域でホントウアカヒゲを復活するには、島全域でマングース対策を行わねばならない」と訴えた。
フォーラムには約80人が参加。湯本貴和.京都大学名誉教授や当山昌直.総合地球環境学研究所共同研究員、森の保全に携わる「やんばるリンクス」会員らが世界遺産を暮らしに生かす考え方や、活動を若者につなぐ意義を語り合った。
辺土名高2年の畑信吾さん、岡田健吾さんは、自然遺産登録地の西銘岳(国頭村)と、登録地外だが豊かな森が残る名護岳(名護市)に設置した定点カメラで2020~21年に撮影された生物の種類や割合を報告した。
同校の研究によると、西銘岳で撮影した455枚中、天然記念物のホントウアカヒゲやヤンバルクイナなどが78.1%を占め、特別天然記念物ノグチゲラも1.8%いた。名護岳は277枚中マングース20.6%、イヌ0.7%で、天然記念物はアカヒゲ0.4%にとどまった。
ホントウアカヒゲは1970年代、慶良間諸島や沖縄島中部にも生息したが、現在は沖縄島北部に限定される。マングースが多いSFライン(大宜味村塩屋―東村福地ダム)以南で少なく、STライン(同―東村平良)以南では確認できないとして、生態系回復のため島全域でのマングース根絶が必要と結論付けた。
また、2人は課題として「1970年代、名護市にマングースが侵入する前の固有種の分布を住民から聞き取り、解明したい。生物と人の暮らしが関わり合う『生物文化』が失われる前に行う必要がある」と述べた。
(岩切美穂)