「国交相の指示は違法」副知事が係争委で意見 辺野古新基地建設、設計変更の不承認巡り


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国地方係争処理委員会での意見陳述を終え、取材に応じる(右から)池田竹州副知事と加藤裕弁護士、松永和宏弁護士=21日、東京都の総務省

 【東京】名護市辺野古の新基地建設で軟弱地盤の改良工事を追加する防衛省の設計変更を巡り、不承認とした県に対して斉藤鉄夫国土交通相が承認するよう是正指示したことについて、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」は21日、総務省で両当事者から意見を聴取した。県は池田竹州副知事らが、国交省は水管理・国土保全局の甲川壽浩次長らが意見を述べた。

 池田副知事は「適法な県の不承認を取り消した国交相の裁決(決定)は違法で、無効な裁決に基づいて承認せよとする国交相の指示は違法だ」と訴えた。沖縄の基地負担についても「県民の民意を無視して強行することが許されるはずはない」と指摘。基地負担が増している背景として自衛隊の増強にも触れた。

 甲川次長は「国交相の裁決は有効で、県の主張は前提を誤っている。裁決には拘束力がある。防衛局の変更承認申請を認めない県の事務処理は違法で、著しく適正を欠き、公益を害している」と述べた。指示が違法ではないと判断するよう委員会に求めた。

 委員から双方に質疑はなかった。両当事者も互いに質問できるが、国交省側は県に質問しなかった。県側は手続きを担った部署や沖縄防衛局の工事の進め方に対する見解を質問した。

 玉城デニー知事は21日、書面で声明を出し「憲法の保障する地方自治の本旨や趣旨を踏まえた、地方の自主性と自立性が保障される中立・公正な判断を委員会に期待している」と訴えた。 (明真南斗)