【意見陳述要旨】県「手続き正当性ない」国「地盤改良安定確保」 辺野古係争委


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名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部

 【池田竹州副知事】今回の設計変更は工期を実質3倍以上、費用も3倍余とする。最初に承認を得た内容とはおよそ別物の工事だ。極めて異常なケースで、変更手続きを認める正当な事情は認められない。軟弱地盤が最も深く堆積している地点で力学試験がされておらず、災害防止に配慮されていない。埋め立ての要件を満たさない。

 沖縄防衛局は5年で埋め立てを完了するという誤った説明に基づいて当初の承認を得た。2030年以降にしか完成しないという正しい内容で出願していれば、普天間飛行場の一日も早い危険性除去に責任がある知事は承認できたはずがない。

 日本復帰50年がたった今も基地負担は異常なほどに過重なままだ。さらに沖縄で自衛隊の機能を増加させるなら、その分、米軍基地の負担が軽減されるべきだ。県民の民意を無視した新基地建設の強行は許されない。

 【国土交通省水管理・国土保全局甲川壽浩次長】国交相の裁決は有効で、県の主張はそもそも前提が誤っている。県は不承認の時と同じ理由で指示の違法を主張できない。裁決に従って変更を承認しなければならず、指示は適法だ。

 今回採用される地盤改良の工法は一般的で、実績は豊富だ。未改良地盤が残っても安定性は確保される。地盤調査について専門家・学識経験者でつくる技術検討会で適正・合理性が確認されている。追加調査が必要だとする県の主張は誤りだ。

 現在も普天間飛行場の移設・返還を実現する必要があり、埋め立ての必要性が失われたり、当初の承認時との整合性を欠いたりしていない。変更承認申請を認めない県の事務処理は違法で、著しく適正を欠き、明らかに公益を害する。速やかに指示が違法でない旨を判断するよう求める。

県と国 質疑でのやりとり

 国地方係争処理委員会における県側と国土交通省側のやりとりは次の通り。

 県側・加藤裕弁護士 不承認を取り消す裁決と同時に、変更を承認するよう勧告したが、いつからどのような経緯で検討したか。過去の事例や基準はあるか。

 国交省水管理・国土保全局甲川壽浩次長 内部の意思決定過程を答える必要はない。

 県側・松永和宏弁護士 当初の承認を得た後、大浦湾側の護岸工事に着手しなかったのはなぜか。

 甲川氏 承認を得た後に実施した調査で軟弱地盤が判明したことを踏まえ、地盤改良工事をするという申請内容だ。正当な事由がある。

 加藤弁護士 軟弱地盤の判明による工事の長期化は、埋め立ての正当性の判断に影響するが、どう判断したか。

 甲川氏 変更申請で問題となされない観点だ。県の主張は法に反する。