マネジャーの役割 石原端子(沖縄大准教授)<未来へいっぽにほ>


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石原 端子(沖縄大学准教授)

 県高等学校体育連盟(県高体連)が2017年から実施している「高校生のためのスポーツ講座」を紹介したい。「スポーツを支える高校生の育成」を目的にスタートした事業で、高校教諭と専門家がタッグを組み「部活動で自主性を育む」ことにチャレンジする非常に価値ある試みだ。

 “支える人の育成”がミソなので、参加者は全員、運動部マネジャーである。講師は各領域の専門家が務める。私もこの事業の趣旨に大いに共感し、初年度から関わらせていただいている。参加した生徒たちがこの講座で得た新しい知識を所属部に持ち帰り、部員にレクチャーできるようになることが目標となる。

 初回講義で、私は必ず「なぜマネジャーをしているの?」と尋ねる。最初は「チームに役に立つことがうれしくて」などと答えてくれるが、話が深まっていくと「チームの一員じゃないなって思ってしまう時があって、つらい」など、共通の悩みが出てくる。そんな時、「マネジャーの本当の仕事は、チーム全体を見渡し、チームを観察し評価し、チームが目標を達成するために何が必要か、いつも考えることだよ。それって監督みたいだね。でもそんな視点でチームを支えられる人になっていこうね。すごく期待してるよ」と伝える。

 この取り組みにも課題がある。私が最優先課題だと感じているのは、マネジャーと部活動担当教諭の連携である。学びを深めたマネジャーがそれを実践できる機会がなければ、このチャレンジ事業は成立しない。監督の右腕となりうるマネジャーの育成は教員の働き方をサポートすることにもつながるはずだ。きらきらした瞳でレクチャーに参加してくれる全てのマネジャーが、主役として活躍する姿を見たい。