9月11日投開票の宜野湾市長選は、18年の前回選挙と同じ顔ぶれによる一騎打ちとなる公算が大きい。前回選挙に続き最大の争点となると予想される米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設の是非に加え、新型コロナウイルス禍により打撃を受けた経済の回復や福祉政策などで幅広い層からの支持を得られるかが勝敗の鍵を握る。
2期目を目指す松川正則氏が6月に早々と出馬を表明し、多数与党の市議団や企業の組織力の強さを生かした態勢づくりを進める。市政野党の候補者選考は難航し松川氏から1カ月半以上遅れたが仲西春雅氏を擁立し、巻き返しを図る。辺野古移設問題には、松川氏が容認、仲西氏が反対としている。
現職より知名度で劣る仲西氏は、10日に投開票された参院選沖縄選挙区で辺野古移設に伴う新基地建設阻止を掲げた伊波洋一氏が勝利したことを好機と捉える。新基地建設に反対する強い民意を背に、オール沖縄の支援を受けながら支持基盤を固めていく考え。
前回選では辺野古の賛否を明確にしなかった松川氏は、今回は容認に転じた。移設が基地負担軽減につながると強調し、騒音被害などに不満を持つ市民のすくい上げを狙う。さらに現職の強みを生かし、西普天間住宅地区の開発など実績をアピールする作戦だ。
松川氏は、県知事選に出馬する前市長の佐喜真淳氏とのセット戦術を先んじて展開している。短期決戦となる仲西氏は、参院選の“追い風”に乗り、無党派層にも支持を広げていく方針だ。両氏とも今後政策発表を予定しているが、幅広い分野でいかに実効性と独自色を両立させていくのかに注目が集まる。
(新垣若菜)