新型コロナウイルス禍で大きな打撃を受けていたブライダル事業だが、リゾートウエディングの需要は回復傾向にあり、ウィズコロナの流れの中で徐々に活気を取り戻している。
参加数絞り感染対策
県によると、2021年のリゾートウエディング実施組数は、対前年比36・1%増の1万2540組だった。沖縄リゾートウエディング協会によると、22年は1万4千組の実施を目指す。
県内の新型コロナ新規感染者数は23日に過去最多の5297人に上るなど、拡大傾向にある。しかし、人生の大きな節目に際して、参加人数を絞るなど対策をしながら挙式するカップルが増えている。
19年まで、県内のリゾートウエディングは台湾や中国、韓国などの外国客の需要も大きかった。しかし那覇空港の国際線が全面休止した20年3月以降、外国客は途絶え、現在は国内客のみとなっている。
ビックブライダル(恩納村、下地政秀社長)では、コロナ禍前は外国人客のシェアが30%を占めていた。国内客に比べ単価も高かったことから、打撃は深刻だ。担当者は、コロナ禍でスマホやタブレットの操作に慣れた人が増えたことから「挙式の問い合わせや打ち合わせのリモート化を検討している。相談カウンターのない地域へのアプローチに力を入れたい」とアフターコロナを見据える。
海外での挙式が難しくなった分、国内客の単価は高くなっている。県内で複数のチャペルを運営するアールイズ・ウエディング(東京都、堀田和宣社長)によると、19年と比較し22年は平均単価が約20万円ほど上がっており、単価200万円以上の客が、以前は2割未満だったが、現在は3割以上になりつつあるという。来られなかった人向けの写真や動画撮影などのオプション費用や、しっかりおもてなしをしたいという意図から食事代金が上がっている。
コロナ禍では写真撮影のみの「フォトウェディング」も広がりを見せる。撮影カット数やカラードレスの追加も多く、ビックブライダルの担当者は「参加者を増やせない分、自分にお金を使おうという動きが見える」という。アールイズ・ウェディングの担当者は「どんなドレスの着こなしをするか、アルバムやムービーはどう撮られたいかなど『HOWのこだわり』が顕著に増えている」と語る。
一方で、県民の結婚式は依然厳しい状況が続く。沖縄ハーバービューホテルの担当者は「19年の3分の1ほどまで回復した」と語る。19年の参加者は平均200人ほどだったが、現在は半数の100人ほど。料理も以前は大皿での卓盛り料理が主流だったが、現在は個々盛りに変化しているという。ローカルウェディング協会の廣田剛代表理事は「沖縄は県外に比べて回復が遅い。感染拡大の影響で直近のキャンセルの連絡も相次いでいる」と話す。「今後は自治体と行政がどう動くかで県内のウェディングの動向は変わってくる」とブライダル業界への支援を訴えた。(與那覇智早)