〈116〉夜間頻尿 睡眠障害、骨折リスクも


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 「最近、おしっこがしたくて目が覚める」「おしっこで忙しくて眠れない」という悩み、もしかしたら泌尿器科に行けば良くなるかもしれません。

 そもそも夜間頻尿の原因には何があるのでしょうか? 多くの人が、「年を取るにつれて寝ている間もおしっこをしたくなる」と考えているかと思います。

 たしかに加齢によるホルモンバランスの変化により夜間の尿量が増加し、夜間頻尿となることが知られています。しかしそれ以外にも泌尿器科疾患(前立腺肥大、過活動膀胱など)、生活習慣病(糖尿病、高血圧など)、肥満、水分の過剰摂取、睡眠障害など原因は多岐にわたり、これらが相互に影響して夜間頻尿を引き起こすと考えられています。意外と奥が深いのです。

 では夜間頻尿は私たちにどのような影響があるでしょうか? 一般的には夜間の排尿回数が多くなると睡眠障害を来し、日中の生活に悪影響が出ます。「夜のおしっこが忙しいから、日中眠くてしかたない」と訴える患者さんは多数います。また夜間の排尿回数が多くなると、転倒による骨折のリスクが高くなると報告されています。特にご高齢の方が骨折した場合には元の状態に回復できないことも珍しくなく、最悪の場合には車いすやベッド上での生活となることがあり注意が必要です。

 そのほか、夜間頻尿は心臓病やうつ病と関連するという報告もあります。夜間頻尿は日常生活から命に関わる重篤な疾患に至るまで、さまざまなことと関係することが報告されています。

 では実際に夜間のおしっこでお悩みの方はどうすれば良いでしょうか。まずはお近くの泌尿器科にご相談ください。泌尿器科疾患が原因であれば治療ができますし、それ以外が原因であっても何かアドバイスができるかと思います。まだお困りでない方も、生活習慣病や肥満を改善することにより、夜間頻尿の予防につながると考えられます。

 夜のおしっこの悩みを解消し、健康で元気な生活を送りましょう。

(日下部直久、沖縄愛楽園 泌尿器科)