泡盛10%値上げへ 各社が9月以降、資材高騰受け


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値上げを予定している泡盛の一部

 原油価格や資材価格の高騰を受け、県内各泡盛メーカーが10%程度の値上げを予定している。泡盛が値上げするのは「記憶にないほど久しぶり」(関係者)と言う。もともと経営体力が弱い酒造所も多く、「経営努力だけではコストの高騰分を吸収できない」と悲鳴を上げている。

 県内酒類卸売大手の南島酒販(西原町)によると、小規模の酒造所はすでに値上げを実施。大手~中堅の酒造メーカーも9月以降、仕入れ価格で10%程度の値上げを予定しているという。

 北谷長老酒造工場(北谷町)は「資材などの高騰の影響で、従来の価格を維持するのが困難」として、7月1日から商品を10%値上げした。

 「残波」の比嘉酒造(読谷村)は、商品によって上昇幅は異なるが、9月から全ての泡盛を10%前後値上げする。担当者は「段ボール、ラベル、瓶などの資材全般や工場の燃料費も上がっているが、一番大きいのは物流コスト」と話した。

 久米島の久米仙(久米島町)も「経費の削減や生産の合理化など徹底したコスト削減に努め、価格を維持するよう務めたが、自助努力だけでは従来の価格維持は困難」として、9月1日出荷分からパックや瓶を10~12%値上げすると発表した。

 菊之露酒造(宮古島市)も9月以降の値上げを検討している。「離島なので輸送コストは本島よりもかかる。資材の値上げがあっても自社で吸収してきたが、今回はさすがに値上げしないと無理だ」と話した。

 泡盛メーカーの2020年度の経営状況は、44社のうち31社が赤字だった。県酒造組合の新垣真一専務理事は「ほとんどの酒造所が経営が厳しい。全ての資材が高騰しており、値上げせざるを得ない状況だ」と説明した。 (玉城江梨子)