沖縄の景気「2018年9月がピークの山」 最も落ち込んだ「谷」は20年5月 りゅうぎん総研が独自指数で特定


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 りゅうぎん総合研究所(伊東和美社長)は2日、県内景気の山と谷を分析し、直近は2018年9月にピークの山に達し、最も落ち込んだ谷が20年5月だったことを暫定的に特定したと発表した。18年10月以降、20カ月間にわたって後退していたことになる。

 独自に作成した景気動向指数は、入域観光客数や建築着工床面積(非居住用)、有効求人倍率など七つの指標を採用し、景気動向の方向性を示す「DI」と景気変動の大きさを示す「CI」をそれぞれ作成した。

 月々の不規則な変動をならして景気の山と谷を特定する「ヒストリカルDI」で見ると、県内では1977年以降8度の景気循環があり、直近では内閣府が公表する景気循環とも山と谷の期間がほぼ同じとなっている。

 動向が視覚的に捉えられる「累積DI」でもヒストリカルDIとほぼ対応した動きとなった。県内景気は19年10月頃をピークに減速傾向に転じたとみられ、20年に入ると新型コロナウイルス禍で大きく落ち込んだ。同年6月以降はほぼ横ばい傾向だった。

 DIで計測できない量感をCIで見ると、17年7月をピークに後退局面に転じている。20年1月以降コロナ禍で経済水準は急速に冷え込んだものの、5月を底に持ち直しに転じている。

 調査した金城毅上席研究員は「シンクタンクなどの景況調査では定性的に評価することもあるが、これらの手法を活用することでデータなど明確な基準で評価することができる」と利点を強調した。
 (小波津智也)