〈117〉健診心電図と狭心症 「青信号」で生活習慣改善を


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 「狭心症で命取りにならないために、黄色信号(病気の一歩手前)になったら教えてほしい」

 健診の心電図検査異常で、二次健診に来られた方へ生活指導をしていたところ、上記のような質問を受けることがありました。

 健康診断や人間ドックで行われている心電図検査ですが、両手足と胸部に10個の吸盤を貼り付け、心臓から出るわずかな電波を記録します。検査時間も1~2分程度で済み、痛みもない簡単な検査です。心電図検査によって異常が見られる場合は、不整脈、狭心症、心筋梗塞などの心臓疾患がないかどうかを検討する必要があり、二次健診に案内します。

 狭心症は冠動脈という心臓を動かす筋肉である心筋に酸素を送る血管が狭くなり、十分な酸素が心筋に届かなくなる病気です。類似した病気の心筋梗塞と合わせて、虚血性心疾患と呼ばれており、日本人の三大死因の一つである心臓病の大半を占めています。

 狭心症の原因はほとんどが動脈硬化です。動脈硬化の危険因子である高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、肥満、喫煙によって血管が柔軟性を失い、硬くなってしまった状態で、動脈硬化が進むと血管の厚みが増し、血管を狭めます。動脈硬化の危険因子を取り除くことで、狭心症も予防することができます。

 先の質問の「黄色信号」についてですが、狭心症や心筋梗塞はある日突然起こります。ですが動脈硬化はある日突然起こるのではなく、それまでの生活習慣の積み重ねです。例えば、狭心症発症のリスクは、禁煙して15年経過しないと喫煙してない人と同じにはなりません。質問の答えは、「黄色信号になってからは遅いですから、青信号の間に生活習慣を改善しましょう」です。

 新型コロナウイルスによる外出自粛などで、生活習慣の悪化が懸念されています。感染予防だけではなく、健診を受けながら、ご自身の健康状態を把握していただきたいと考えています。

(轟純平、中部徳洲会病院 内科)