アオウミガメが増加、希少な海草が全滅の危機 沖縄・西表島で食害深刻、生態系崩れ漁業にも影響 環境省は管理計画を検討


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ウミショウブを保護するために環境省が西表島に設置した柵(左)とアオウミガメ。柵の外ではアオウミガメの食害が進んでいる(環境省提供、いであ株式会社撮影)

 【西表島=竹富】竹富町西表島で、絶滅危惧種のアオウミガメによって、国内では八重山地域のみに分布する希少な海草、ウミショウブの食害が起きている。地域内ではアオウミガメの数が増加しているとみられ、食害により漁業などにも影響が出ている。環境省は食害対策として、海中に柵を設置するなどして対策に乗り出しており、保全のための計画も本年度中に策定予定だ。

 環境省西表自然保護官事務所によると、アオウミガメの食害で、西表島西部の網取湾では2009年ごろからウミショウブが減り始め、13年にはほぼ全滅した。近くの崎山湾でも23ヘクタールほどある群落が食害を受けており、健全に育つウミショウブは、環境省が食害を防ぐために海中に設置した柵が置かれるエリア、684平方メートル程度を残すのみだという。

 町黒島の日本ウミガメ協議会付属黒島研究所によると、黒島周辺に住むアオウミガメの推定個体数は、11年に200匹程度だったのが19年には2倍以上に増えた。同研究所研究員の亀田和成さんによると、サメの駆除が進んだことや漁師による捕獲が減ったことなどにより、八重山全域でアオウミガメの個体数は増加しているという。

 一方、アオウミガメの食害による漁業への影響も否めない。西表自然保護官事務所によると、ウミショウブは魚やイカの産卵場所であり、小魚が育つ“海のゆりかご”だ。アオウミガメの食害により、生態系が崩れる恐れがあるという。八重山漁協の担当者は「西表島ではウミガメが海草を食べてしまい魚が寄りつかなくなったと言われている」と打ち明ける。

 こうした中で、環境省の生態系維持回復事業計画の案には、アオウミガメの個体群管理の検討が盛り込まれている。また観光などの資源としての活用も検討されており、アオウミガメとの共生に向けた取り組みを目指している。

 西表自然保護官事務所の担当者は「ウミショウブの減少は待ったなしの状況で、まずはその保護が最優先だが、将来的にはアオウミガメとの共生を考えなければならない。生態系のバランスをどう戻していくかという大きな問題だ」と話している。
 (西銘研志郎)