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国庫金の電子化プロジェクト 日本銀行那覇支店・飯島浩太<仕事の余白>


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飯島 浩太(日本銀行那覇支店長)

 日本銀行は「政府の銀行」としての顔を持っている。国税や年金保険料といった国の歳入金は、金融機関等を通じて日本銀行に集められ、国が日本銀行に開設している政府預金口座に入金される。また、年金や公共事業費といった国の歳出金は、日本銀行の政府預金口座から、金融機関等を通じて個人や企業に支払われる。那覇支店でもこうした業務を行っている。

 この国庫金の受け払いについて、日本銀行では政府等の関係者と連携して、2000年以降、電子化を進めてきた。その結果、国から個人や企業への資金の支払いに関しては、ほぼデジタル化が完了した。一方で、個人や企業による国税等の納付のデジタル化、つまり、キャッシュレス納付については、なお道半ばである。件数でみた、わが国のキャッシュレス納付比率は、2020年度時点でなお5割強にとどまっている。

 キャッシュレス納付は、金融機関、日本銀行、行政における事務処理の効率化になるだけでなく、何より納付者にとって各種のコストを削減できるメリットがある。しかし、キャッシュレス納付の存在や利用方法が十分に認識されていないこともあり、現金納付を行っている個人や企業が引き続き多いのが実情である。こうした中、当地でも国税当局、県、金融機関、日本銀行等の関係者が一緒になってキャッシュレス納付の普及促進に取り組んでいる。まだ国税等を現金納付されている方は、ぜひキャッシュレス納付を検討してみてはいかがだろうか。